Tere!皆様こんにちは。
虫が活動する季節となり、蚊に刺されると酷く腫れる体質のため、虫除けスプレーが手放せません。エストニアで虫にさされた時にも薬局で親切に相談にのって頂きました!
エストニアの種類豊富なハーブティーが大好きなライターのMayaです。
今回は、ヨーロッパで最も古くから継続的に運営されている薬局の1つである『Town Hall Pharmacy(タウン・ホール・ファーマシー)』をご紹介させて頂きます。
Town Hall Pharmacyについて
エストニア語では”Raeapteek(ラエアプテーク)”とよばれており、タリン旧市街のラエコヤ市庁舎広場に位置しています。15世紀初頭から営業を続けているこの薬局は、タリンで最も古い医療機関です。
ちなみに..
市庁舎薬局の看板は、コップに巻きついた蛇がモチーフです。
何故ヘビとコップがモチーフなのかと申しますと、医者はヘビのように賢くなければならないことを象徴しており、そのコップは知恵の象徴であり、知識を引き出すという意味がこめられているのです。
薬局内には、古い医療機器や歴史的な化学者が使用した道具、その他の珍品を展示する小さな博物館がございます。
それでは、中世の薬局の秘密を覗いてみましょう!
中世における市庁舎薬局の役割
薬局設立の正確な時期は不明とされていますが、タリン市庁舎に残されているノートからは、1422年に薬局にはすでに3人目の所有者がいたことが明らかにされています。
またRaeapteekは単なる薬を売る場所ではなく、町の紳士や商人、その他の威厳のある市民がゲストと一緒に集まる憩いの場所でした。
古くから販売された製品の数々
1467年には、Klarett(クラレット)とよばれる秘薬が誕生しました。クラレットは、赤ワインとスパイスで作られた飲み物で、かなり強くて食欲をそそる秘薬です。
15世紀には、薬局からさまざまな種類のスピリッツ・軟膏・薬用茶が販売されました。病気の患者の治療のためには、ミイラジュース、ハリネズミの粉末、焦がした蜂の粉末、コウモリの粉末、ヘビ革のポーション、白馬の睾丸等が使用されました。
“蒸留されたミミズ”や”ツバメの巣”等とハーブを使い、ジャム・ワインとスパイスを発酵させた飲み物も人気があり、モーセルと呼ばれるスパイシーな澱粉クッキーは薬局の名物でした。
何世紀も前には、人間や犬の脂肪なども販売されていたそうです。
当時の薬局では、薬以外のものも販売されており、紙・インク・封蝋・染料・火薬・ペレット・香辛料・ろうそく・トランプ等がありました。
現代のコンビニのような役割で、生活に必要な商品が手軽に購入できたのでしょうか。
ちなみに、当時の最も高価な薬の1つは何だと思いますか?
・・・
正解は、エジプトから持ち込まれたミイラから作られた薬だそうです!
中世のヨーロッパでは、魔女や魔術も信じられていました。
薬局は、年間約400リットルのフランスのコニャックを非課税で輸入する特権を取得しました。またタバコがヨーロッパに輸入され、初めてエストニアに持ち込まれたとき際にも、薬局は最初に販売を開始しました。
ジュニパーベリー -Juniper berry-
引用: Taxa – Raeapteek
上の画像のジュニパーベリーは、セイヨウネズという低木の果実を乾燥させたスパイスです。
昔の言い伝えでは、
ジュニパーの中には9人の医者がいるため、病気の季節には毎日1個のジュニパーベリーを食べましょう。
と言われるほどで、ジュニパーベリーは、咳や胃の病気の治療に使われました。またそのお茶は、腎臓や膀胱の病気を緩和しました。
古代からヨーロッパではありふれた植物で、中世ヨーロッパで黒死病が大流行した際に、ジュニパーベリーの蒸留酒が治療薬として使われていた記録が残っています。深刻な病状の患者は、1日1回ジュニパーを食べていたそうです。
マジパン -Marzipan-
こちらの薬局で中世から、一つだけレシピも変わらず売られ続けられている商品がございます。
それはマジパンとよばれるお菓子で、Reval Marzipan(リーヴァル・マジパン)はハンザ同盟時代の北ヨーロッパで最も有名なマジパンの1つであり、市庁舎薬局で最初に販売されました。
なんとこのマジパン..
当時は失恋に効く薬として売られていました。
薬のレシピは秘密だそうですが、失恋の痛みを和らげ、脳の活動を刺激するのに適したハーブが使われています。
現在も薬局で販売されており、マジパンには72%アーモンドが使用されています。今でも恋に効く薬として売られており、観光客にも人気のお土産になっております!
コロリとした一口サイズの可愛い見た目で、カバンに忍ばせておくのに最適です。
他にも、クローブやシナモン・コリアンダー等のスパイスとチョコレートのマジパンも大変人気の商品です。
現代における市庁舎薬局の役割
何世紀にもわたり薬局の機能と外観は変化しましたが、面影は残されており、薬局が国有化されたのはバルト諸国の2回目の占領中のことです。
1990年以降には約50年近く放置されていた建物の修復のため、薬局全体が大規模な改修を受け、この改修工事は2003年まで10年以上続きました。
現在、薬局の主要部分は1階にあり、解熱鎮痛剤のアスピリンを含む最新の医薬品が販売されています。
市庁舎薬局の建物には、あらゆる世紀の文化的および建築的価値が残されており、建物の壁は数世紀にさかのぼり、窓のフレームは15世紀にさかのぼります。
Raeapteekの薬局・博物館共に入場料は無料です。
タリン旧市街では、この歴史ある市庁舎薬局に訪れて、是非歴史を感じてみて下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
Raeapteek 情報
営業時間
月曜日-土曜日: 10:00~18:00
日曜日: 定休日
住所
Raekoja plats 11, 10146 Tallinn (Googleマップ)
ホームページ: raeapteek.ee
Facebook: @Raeapteek