Tere。皆様こんにちは!
毎日植物のお世話をしていると、心が穏やかに過ごせます。
家庭菜園2年目に突入したライターのMayaです。
本日はエストニアのスタートアップ企業の【Click&Grow】についてお伝えいたします。
屋内で植物を自動で簡単に栽培しよう
Click&Grow(クリックアンドグロー)は、2009年に Mattias Lepp(マティス・レップ)氏によってエストニアで設立されたスタートアップ企業です。
自動的に植物を育ててくれるスマートガーデンシリーズは、日光の当たらない屋内でも、どこでも誰でも簡単に植物を育てることができ、家庭菜園の概念をくつがえしたとして、世界から注目されています。
世界の人口の55%が都市部で暮らしている現代社会。(引用:Click&Grow)
『屋内で観葉植物や緑など自然のものに触れる』ことで人間のストレスレベルは減少し、更には空気をきれいにし、心身ともに健康になれるといわれています。
365日年間を通じて、砂漠や湾岸地域・世界中どんな気候下においても、手軽に植物を栽培したり、家族で食育について学べるテクノロジーの存在を知っていますか?
ストレスや不安の多い都市部の現代的な生活と自然の架け橋になるために、開発されたのがClick&Growです!
革新的な最新技術により、家庭で一年中新鮮なハーブや果物、葉物野菜、お花を簡単に栽培する育成キットを開発し、世界展開しています。
その画期的なアイデアが評価され、2010年にエストニア最大のビジネスアイデアコンテストであるAjujaht(アユヤフト/Brainhunt)で優勝経験があります。(引用:Ajujaht)
例えば、日本では夏野菜イメージの強いミニトマトも屋内でいつでも栽培することができます。
採れたての新鮮なミニトマトをサラダやサンドイッチに加えることができたら、凄く健康的ですよね。
NASAから着想を得た宇宙農業とフィロソフィー
Click&Growの創設者兼CEOのMattias Lepp(マティアス・レップ)氏は、NASAの宇宙農業と火星ミッションから、スマートガーデンシリーズのアイデアを得ました。
Mattias Lepp氏は自然に囲まれた環境で幼少期を過ごし、家庭の都合により大都市に引っ越しますが、自然から離れた都市部での現代的な暮らしはMattias氏にとって、絶えず失望していたと語るほど辛いものだったのだそうです。
そして、『人の一生の中で自然との繋がりが、いかに大切なのか』に気付かされたといいます。
Mattias氏はとある日、“NASAの火星ミッション”の記事をみつけ、そこには『どのように宇宙に植物を育てるかの計画』が記されていました。
宇宙で植物を育てているという記事に感銘を受けたMattias氏は、『宇宙で植物を栽培可能であれば、屋内で自動で植物を栽培できる機器の開発は出来ないか?』と考えました。
インドアガーデンを現実に実現していくためのアイデアを世界中の大学と提携し考えて、現在のスマートガーデンシリーズのコンセプトを誕生させました。
“現代的な都市部の生活と自然の架け橋となり、幸せを創る”
それが、Click&Growのミッションです。
日本と海外での展開について
Click&Growの世界展開事情につきましては、北米はアメリカやカナダ・イギリス・ヨーロッパはイタリア・ドイツ・スペイン・フランスを中心に展開されています。
現在アジアにおけるClick&Growのマーケットは、シンガポールと香港が中心となっており、日本では正式的には未上陸です。
公式サイト経由で購入しないと製品保証等が適応されない場合がありますので、ご注意ください。
中東でも既にサウジアラビアに進出しており、ドバイ万博2020が開催されているアラブ首長国連邦でも、Click&Growが出展し人気を博していることから、中東でもインドアガーデンが広まっていく予感がしています!
Click&Growはもともと極寒地域でも植物栽培ができるように開発されましたが、中東の年間を通じて暖かく、猛暑である湾岸地帯や砂漠地帯では食品は主に輸入に頼っていることもあり、まさにインドアガーデンのニーズがあり、注目をされているのです。
スマートソイルと約75種類の植物から選べる豊富な植物ポット
現在、約75種類以上のplant pods(植物ポット)が販売されています。(2022年1月調べ)
植物ポットには、あらかじめ種や必要な栄養が土に含まれており、土のSmartSoil(スマートソイル)は、NASAのテクノロジーに触発されて開発され、植物が成長するために最適な環境を作り出してくれ、植物を育てたことがない方でも気軽に始められます!
土の栄養には、ナノコーティングされたペレットが使用されていて追肥の必要がなく非常に効率的で、通常の培養土と比較しても、Click&GrowのSmartSoilは、より多くの酸素、水、栄養素を備え、通気性が良くはるかに優れた発芽環境を実現しました。
Click&Growで人気がある植物ポットは、バジル、ミニトマト、ワイルドストロベリー、ラベンダー・ローズマリー・ミント・コリアンダーです。
創立者兼CEOのMattias Lepp(マティアス・レップ)氏のお気に入りは、ローズマリー。
ローズマリーは、爽やかな香りが特徴的の地中海沿岸が原産のシソ科のハーブです。
料理の香り付け・臭み消し・洋風だし・ハーブティーと万能に大活躍するためキッチンにあると嬉しいですね。
冬にはビタミンが豊富な葉物類もおすすめで、別売りのExperimental pods(実験ポット)を使えば、自分で用意した種から育てることも可能なのです。
スマートガーデンの使い方
スマートガーデンの使い方は、とてもシンプルで簡単です。
植物ポットをスマートガーデンに配置し、蓋を被せて、規定の水をスマートガーデンに注ぎ、スイッチをオンにします。
まさにクリックするだけで、後は自動的に育ってくれて、スマートガーデンは、植物が必要とする水分を自動で供給してくれます。
水は栽培する植物にもよりますが、約2〜3週間持続し、必要に応じてタンクに補充することができます。
一般的に室温が暖かいほど植物がより早く発芽し、ほとんど種子は1〜2週間で発芽するのに対して、一部のミニトマト、唐辛子、ローズマリー等は発芽するのに最大3週間かかることがあるそうです。
LED育成ライトの秘密
スマートガーデンの専用の育成LEDライトが、植物の発芽と成長を促してくれるのです。
Click&GrowがインスパイアされたNASAの宇宙での植物栽培の現場でも、LEDライトが使用されています。(引用:NASA is Everywhere: Farming Tech with Roots in Space)
LEDが植物栽培のグローライトに選ばれる理由は、植物の成長を促進するスペクトルの各種波長で効率の良いエネルギー供給が可能であること、ほとんど熱を発さず小さな空間で植物の近くに配置が可能である、他のライトと比較して紫外線の放出量が少ないことが挙げられます。
Click&Growのテクノロジーは、日光が限られた屋内のどこでも、省スペースで好きな植物を快適に栽培可能にしました!
現在、スマートガーデンシリーズを中心に目的から選べる栽培キットを展開しています。
機能性だけに留まらない、洗練された北欧デザイン設計
北欧デザインといえば、シンプルで無駄がなく上質なイメージがありますよね。
エストニアで誕生したClick&Growのスマートガーデンもまた、こだわり抜かれたデザインが注目されています。
スマートガーデンの設計者は、フィンランド出身工業デザイナーのMika Nenonen(ミカ・ネノネン)氏です。(引用:Click&Grow/The Lead Designer Of Nest And Nokia On Designing The Smart Garden)
デザイナーのMika氏によりますと、スマートガーデンのデザインについて『伝統的なものと新しいものが融合した素晴らしい例で、それは一種の芸術作品のよう』だと語っています。
スマートガーデンシリーズは白を基調とされており、まさに北欧の木の温もりが感じられるウッディなお部屋に溶け込み、上部の細いアームにLED育成ランプがついており、スタイリッシュに優しく植物を照らしてくれます。
植物が成長し、ライトに反射する様子もとても綺麗で、スマートガーデンは観察・鑑賞する楽しみを与えてくれます。
インドアガーデンで気を付けるべきこと
スマートガーデンは植物をほぼ自動で栽培してくれる優れものですが、トマトや苺などの実のなる植物を育てる場合、実つきをよくするコツがあります。
その秘密は、人工授粉です!
屋外では、通常はミツバチや虫、自然の風が自然に受粉を助けてくれますが、
室内では軽く指先や毛先の柔らかいブラシで揺らすことで、人工授粉が完了します。
(引用:Click&Grow/How to pollinate your plants?)
これは通常の家庭菜園でも応用できるため、とても簡単なので、是非やってみて下さいね。
スマートガーデンで育てている植物が大きくなりすぎることはありませんが、適度に選定すること、植物の木のバランスが崩れた際は、箸などを使って茎を支えることが推奨されています。
(引用:Click&Grow/How to stake your mini tomatoes)
植物は生きているので、愛情をかければかけるほどより可愛くみえるものです!
インドアガーデンをきっかけに、家族や友人と植物に対する知識・食育について見聞を広げることができますね。
Click&Growの原点であるNASAの宇宙農業とスマートガーデンの共通点とは
NASAの火星ミッションへの課題
宇宙農業とは言葉のとおり、宇宙で植物栽培することをいい、主な目的と利点は『長期的な宇宙探査を可能にする』ことで、NASAは、”人として探求し続けたい“という願望を持ち続け、エストニアのスタートアップ企業・Click&GrowはNASAの火星プロジェクトに感銘を受けた創業者により開発されました。
NASAは、60年以上にわたって宇宙探査の責任を担ってきました。
約20年近くの間、人々は継続的に国際宇宙ステーションに滞在し、NASAのアルテミス月探査プログラムと将来の火星への人間のミッションのための深宇宙探査を可能にし、地球上の人々に利益をもたらすために科学を実行してきました。
最大のミッションは、『宇宙飛行士を火星に送り、深い宇宙を探索すること。』
NASAは、2024年までに最初に女性、次に男性を月面に着陸させ、2028年まで持続的に活動する計画をしています。(引用:NASA/Artemis Program)
なぜ宇宙での植物栽培が必要なの?
なぜ宇宙での植物栽培が重要なのかといいますと、地球上空約400㎞を周回している国際宇宙ステーション(International space station: ISS)では、空気・水の一部を再生して運用されており、食糧はすべて地球からの輸送に頼っているのが現状です。
将来的に月面探査や火星などそれ以上の探査となると、備蓄できる食糧にはおのずと限界がみえてくるため、宇宙で食料の生産・空気や水の浄化・物質のリサイクルを行うためのシステムが必要だと考えられています。(引用:NASA/Farming for the Future)
火星へ行くためには、現在の技術ではもっとも燃料を使わない方法で飛行すると、約250日(8ヵ月)かかり、火星で1年間滞在調査を行い、地球に戻る頃には3年近くもかかってしまう計算になるのです。
火星飛行と調査にかかる、2年または3年のミッションの間に、地球から持ってきたビタミンや、包装された食品の品質は時間とともに劣化してしまいます。
新鮮な食用作物を補給することで、必要な栄養素を得られると同時に、食事の多様性を高めることができますよね!
宇宙ステーションは6部屋の家ほどの大きさで、基礎科学から宇宙での食料栽培などの実用化まで、あらゆることを研究する忙しい研究室です。
人間が地球から遠く離れた宇宙探査を拡大するにつれて、補助的な食用作物を育てる能力は、長期ミッションの挑戦に対する解決策となり、今後はさらにAI、ロボット化により面積効率の高い栽培目標が掲げられ、私達の住む地上と同じように、月面でも廃棄物を堆肥にするためのリサイクルシステム開発なども進んでいます。
食糧自給・宇宙空間での物質循環を効率的に行う以外にも、人間が植物に接することによる心理的効果が期待されており、宇宙空間で人間が生鮮野菜を摂取したり生きた植物と接触することは、ストレス緩和・健康維持に大きな役割を果たすのです。
国際宇宙ステーションの画期的な野菜栽培ユニット
国際宇宙ステーションにはいくつかの野菜栽培ユニットがあり、一つはVeggie(ヴェジー /VegetableProductionSystem)とよばれる植物成長ユニットで、宇宙飛行士が食事を補い、新鮮で栄養価の高い食品を育てるシンプルで低電力のシステムです。
Veggieは、ライト・空調および制御電子機器で約70ワットで動作します。
二つ目は、2017年4月から導入されたAdvanced PlantHabitat(アドヴァンス・プラントハビタット)という機器です。
洗練された成長チャンバーである Advanced PlantHabitat は、ミニ冷蔵庫とほぼ同じサイズで、植物が宇宙でどの成長条件を好むかをテストするように設計されており、植物はVeggieよりも根を深く広くはれるだけの面積が提供されています。
Advanced PlantHabitatシステムのおかげで、宇宙で様々な作物を育てることができるようになり、キャベツやマスタード、シロイヌナズナ、ドワーフ小麦の成長と研究に使用されてきました。
Advanced PlantHabitatに託されたもう一つの目的は、初めての宇宙ベースの農業サイクル研究です。
小さな植物を育てるだけでなく、種から種へと育てることで、地球から持ち込んだ1つの種から、複数の世代を成長させることができれば、それは持続可能な農業となります。
(引用:NASAfacts)
地球人にとっては生鮮食品を手に入れることは大したことではないように聞こえるかもしれませんが、宇宙では本当に新鮮な食べ物は、年に数回しか物資が届きません。
そのため、物資が地球から国際宇宙ステーションに到着すると、新鮮な農産物は人気で、ほとんどすぐになくなってしまうのだそうです。
宇宙飛行士が宇宙ステーションに滞在する期間は、平均して約6か月間。
国際宇宙ステーションの1人の宇宙飛行士は、1日あたり約1.8キログラムの食料と包装を必要とするといわれており、火星へのミッションにおいては約4-5年間の食料貯蔵が必要になる可能性があり、理論的には可能ですが、それは非常に高額になるのだそうです。
具体的には、食料やその他の物資を急いで宇宙に送るために、典型的な約300円の一斤のパンを宇宙に送るために、約100万円以上の費用がかかります。
2009年の栄養面の研究によると、1年間食品を保管していると、ビタミンA・C・Kは大幅に減少し、葉酸とチアミンもわずかに減少する可能性があることが示されました。
まさに、宇宙での健全で効率的な長期活動のためには、ビタミンの新しい供給源が必要になるということですね。
持続性のある宇宙農業を達成できなければ、火星に住むことは不可能に近いため、NASAは日々研究を続けています。
宇宙で植物に水をやる方法
宇宙は微小重力(無重力)のために、植物の水をやるのは容易ではなく、当初は悪夢であるとも言われたそうですが、結果的にエストニアのスタートアップ企業であるClick&Growの屋内ガーデニング・スマートガーデンの水の分配システムのヒントとなりました。
アメリカのUniversity of Wisconsin-Madison(ウィスコンシン大学・マディソン校)の植物学者であるSimon Gilroy(サイモン・ギルロイ)氏は、宇宙で植物に水をやるのは本当に難しく、重力がないため、水は異なった動きをし、水を土の粒子に乗せると、水は表面を這うだけだと語っています。
国際宇宙ステーションの野菜ユニットでは『plant pillow(植物枕)』とよばれる枕のような小さな栽培バッグで栽培されており、NASAの宇宙飛行士は植物に水を補給する際には、plant pillowに注射器で水を注入します。
種子は発芽して成長すると、根がplant pillowの方に成長するように方向付けられ、これらのplant pillowの容器では、限られた量の水しか保持できないため、レタスなどの葉物野菜の栽培に適しています。
より多くの水を必要とするより大きな植物のためには、NASAは「PONDS(ポンド)」(パッシブ軌道栄養供給システム)として知られている植物成長ユニットが使用され、PONDSは植物が成長に必要なときにだけ、水を給水することができる自立型の貯水システムで、その利点は、宇宙飛行士が植物に水をやるのに費やす時間が少なくなることです。
NASAのPONDSのコンセプトと同様に、Click&Growのスマートガーデンも、植物が自分自身で自動で給水するように設計され、土壌の水分を制御し、植物のニーズに応じて特定の時間に水と栄養素を分配します。
Click&Growの植物ポッドは、水のタンクに伸びる芯を備えた植物カップに収容されており、芯が貯水タンクから水を吸収し、それを植物ポットのスマートソイル(土壌)に補給されるシステムです。
スマートソイルには各植物ごとに栄養素がすでに含まれているので、貯水タンクに液体肥料を追加する必要はありません。
(引用:Click&Grow/How is Click & Grow Inspired by NASA?)
植物はどのようにして宇宙で日光のない環境で成長するの?
植物の成長に不可欠なのは、水・空気・光です。
光がなければ植物は光合成することができず、生きていくことはできません。
光合成とは、光と水、酸素をエネルギーに変換する植物のプロセスで、植物は成長して、種子を生産するためにこのエネルギーを必要とします。
宇宙は無重力のため、重力屈折がおこらず、UV−Cとよばれる紫外線を直接植物に当てないようにしないといけないため、室内で育てられます。
いかがでしたでしょうか。
持続可能な環境の構築に向け、宇宙ファーム(農業)の存在は、植物を使用して廃水をリサイクルしたり、酸素を生成し空気を継続的に浄化作用、排泄物をリサイクル、10m²の作物が1人が1日の必要量の25%(つまり約180〜210グラムの酸素)生成でき、持続可能な環境の構築に役立ちます。
植物は、二酸化炭素を酸素にリサイクルしたり、水を浄化することにも使用できるため、宇宙で活躍する可能性に満ちています。
宇宙で植物を育てるという、誰も挑戦したことのない新たな試みから、困難だとされていた気候や宇宙空間での食糧の栽培という難題も乗り越えることで、様々なテクノロジーが誕生しています。
世界中で、そして日本国内でClick&Growが当たり前のように普及する日が楽しみですね。
身近な場所に緑を取り入れるだけで、日々の幸福度を高めることができるため、皆様も日々の暮らしにグリーンを取り入れてみて下さいね。
今回はライターのMayaがお送りいたしました。
最後までお読み頂き有難うございました!